日本政策金融公庫で審査落ちする理由とその対策

日本政策金融公庫で審査落ちする理由とその対策

日本政策金融公庫は、民間の銀行が貸し渋るような中小企業者でも比較的借りやすい金融機関です。そのため公庫融資を借りようとチャレンジする方が多い半面、審査落ちしてしまう方も多く見受けられます。今回は日本政策金融公庫の審査落ちする理由とその対策についてご説明します。一度審査落ちしても再度チャレンジすることができますので、落ちた理由をしっかりと見直し体制を整えて再度申し込みを行いましょう。

日本政策金融公庫で審査落ちする理由

日本政策金融公庫で審査落ちする理由

下記に一つでも当てはまっていれば、審査落ちの原因となる可能性が非常に濃厚です。融資申し込み前に確認しましょう。

要件を満たしていない

日本政策金融公庫には様々な融資制度がありますが、それぞれに要件が設定されています。そのうち「新創業融資制度」に関する要件は大きく次の3点です。

  • 新たに事業を始める人や、事業を開始してから税務申告を2期終えていない
  • 「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」などの一定の要件に該当する
  • 事業開始前または事業開始後の税務申告1期目を終えていない場合は、創業資金総額の1/10以上の自己資金が確認できる

例えばあなたがすでに3期目の税務申告を終えている場合、新創業融資制度の要件を満たしていないので審査落ちは確実です。

また自己資金が足りずに審査落ちとなる場合もよく見受けられます。創業に必要な資金総額が1,000万円だった場合、少なくとも100万円は自分で用意し、事業に投入できるよう準備しておかなければなりません。この時融資を受けられる額は900万円までの計算になります。
新創業融資の限度額は3,000万円ですから、創業資金3,400万円の時に400万円を自己資金として用意できれば3,000万円の満額融資が可能となります。自己資金が100万円の方が3,000万円の融資を受けようとしても審査に落ちてしまいます。
この「自己資金」についても、用意すればなんでもOKというわけではありません。
給料や生命保険の解約金など、出どころのわかるお金は自己資金として認められます。一方で、他から融資されたお金や出どころの説明ができないお金に関しては自己資金として認められません。
また「親族からもらったお金は自己資金OK」だが「親族から借りたお金は自己資金NG」ということも合わせて覚えておきましょう。

公共料金や税金などの支払いに遅延がみられる

申込み時以前の1年間で、公共料金や税金の延滞が確認された場合は審査落ちしてしまいます。
主に審査対象となるのは以下のものです。

  • 家賃の支払い
  • 固定資産税の支払い(持ち家の場合)
  • 電気、水道、電話料金などの支払い

上記の支払いが遅れていると、融資の返済も遅れることが懸念されるため審査落ちしてしまいます。
遅延していないか心配な方は、公共料金が引き落とされている口座の通帳や支払い明細書を確認してみましょう。
なお税金の支払いは特に厳しくチェックされます。国税徴収法という法律により、融資資金の回収よりも税金の支払いが優先されるためです。資金繰りに行き詰った際に融資が回収しづらくなることから、税金の未納付は融資審査に悪影響を及ぼします。

信用情報に問題が見受けられる

審査の際には、融資を受けようとする個人のクレジットカードの使用状況、ローンの残高や返済状況などが必ず調査されます。過去に債務(借金やローン)が残っていたり自己破産をしたりしている場合、審査落ちの対象となりえます。
この情報は未納や延滞が発生した際、個人信用情報機関に事故情報として登録され、各信用情報機関で共有されています。したがって日本政策金融公庫もこの情報を確認できます。自分の信用情報であっても自ら開示請求を行うまで分からないため、知らずに登録されていたということも少なくありません。心当たりのある方は、一度開示請求をして自分の情報を確認してみましょう。

審査落ちになる可能性の高い条件

  • 5年以内に債務整理を行った
  • 5年以内に強制解約を受けた
  • 61日を超える長期の延滞をした
  • 自己破産をした

なお住宅ローンや自動車ローンなどで有担保融資の借入は審査対象となりません。

事業計画書の売上や利益の根拠に乏しい

創業融資では必ず事業計画書の提出が求められます。事業計画書は融資実行に非常に重きを置かれていますが、中でも収支計画の妥当性については明確な根拠が求められます。

例えば飲食店である場合、
売上見込みは
販売単価×席数×回転率×日数
で計算します。
しかしながら販売単価や回転率について、明確な根拠がない場合、計画性不十分として審査落ちしてしまいます。

事業計画書の内容や説明に矛盾が生じている

事業計画書に記載している内容そのものに矛盾点が見受けられると、経営者として信用できないと判断されかねません。
例えば必要資材の購入予定金額が市場価格とかけ離れていたり、売上と仕入額が比例しなかったりする場合が挙げられます。
面談時には担当者に事業計画を説明するのですが、この時もしっかりとした根拠の元に説明ができないと、融資実行には届かない可能性が高いでしょう。
根拠ある資料と数字の説明が求められます。

審査落ちした場合の対策方法

日本政策金融公庫の審査に落ちたとしても6ヶ月後にはリベンジのチャンスがやってきます。
事業計画を縮小する前に対策を講じて、次のチャンスを待ちましょう。

審査落ちの原因を把握する

まずは自分がなぜ審査落ちしたのか原因を把握しましょう。
上記で審査落ちの原因となりやすい事柄についてまとめています。
「融資要件を満たしているか」「個人の信用情報」「事業計画の根拠」
上記を参考に大きくこの3つについてチェックしてください。原因を把握することで、今後の方向性が見えてきます。

再申し込みの準備をする

審査に落ちた場合でも、6ヶ月後には再申込みが可能です。融資要件や信用情報に不備がなければ事業計画書を練り直して再チャレンジしましょう。6ヶ月の間しっかりと業績を上げておけば、それだけでアピールポイントともなります。再申込みをしたからといって必ず融資が通るわけではありませんが、審査に落ちた原因を改善できていれば融資通過の確率も以前より格段に高くなります。

自己資金に合わせた事業計画に修正する

自己資金が少なくて審査落ちしたと考えられる場合、親族からお金を調達するなどして必要額の融資を再申込みすることも一つの手段です。しかしながら現実的には、親族から調達するにも限界があります。今ある自己資金に合わせて事業計画を修正するのが確実な方法でしょう。

認定支援機関に依頼する

日本政策金融公庫からの融資に強い認定支援機関に依頼し、融資のサポートを行ってもらいます。利用料はもちろんかかりますが、専門家ならではの知識と経験で、融資審査を有利に進めることが可能となります。
認定支援機関とは正式名称を「経営革新等支援機関」と言います。経営課題を抱える中小企業などの相談や支援を行う組織で、全て国からの認定を受けている事業者です。
認定支援機関は下記の検索システムから探すことができます。
認定経営革新等支援機関検索システム
認定支援機関が行うサービスは幅広いため、利用する場合は日本政策金融公庫からの融資実績が豊富かどうかを見極めましょう。

その他の融資調達方法

審査落ちした原因から日本政策金融公庫からの融資が難しいと判断しても諦めるのはまだ早いです。
他の方法で融資を調達することも考えましょう。

制度融資を利用する

創業間もない頃は取引実績のない民間の金融機関から通常の融資を受けることは非常に困難です。しかし制度融資を利用することで、金融機関の融資を受けやすくなります。
制度融資とは、自治体と信用保証協会、銀行などの金融機関が協力して資金を貸し出す制度のことです。
そして信用保証協会とは、中小企業が金融機関から事業資金を調達する際に保証人となってくれる公的機関です。金融機関も信用保証協会の保証があれば回収不能になるリスクが低くなるため、比較的融資が通りやすくなります。
総務省「平成28年経済センサス-活動調査」によると、中小企業や小規模事業者の34%以上が信用保証協会を利用しています。保証を利用するためには「企業規模」「業種」「区域・業歴」の3つの基準を満たしている必要があります。誰でも借りられる仕組みではありませんが、興味のある方はお近くの信用保証協会にお問い合わせください。

プロパー融資を検討する

住宅ローンを借りたことがあるなどで既に個人的に銀行を取引実績がある場合、プロパー融資(銀行固有の融資)への申し込みも検討しましょう。ただし日本政策金融公庫や制度融資に比べると審査も通りにくく、保証人や担保が必要となる可能性が高いと考えておいてください。
プロパー融資の最大の注意点は「いきなり銀行窓口に申し込みに行ってはいけない」ということです。銀行は急な新規顧客を警戒します。取引実績のない銀行に融資を申し込む場合は、顧問税理士や商工会議所を通して紹介してもらいましょう。

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