自己資金があっても創業融資を受けるべき理由とは

自己資金があっても創業融資を受けるべき理由とは

自己資金が潤沢で創業するのに支障がないとしても、創業融資を受けることは検討に値します。

創業融資を受けておくことは、創業への保険にもなり得るからです。

さらに創業融資を一度借り受けておくと、後々助かることにもつながります。

長く事業を継続していく予定なら、創業時の融資をぜひ検討してください。

今回は自己資金がある人でも創業融資を受けるべき理由と、創業融資を受けない場合のリスクについてご説明します。

自己資金があっても創業融資を受けるべき理由

予想よりも必要な支出が上回るケースが多い

どれだけ詳細な事業計画書を作り込み、多めに資金を計上したとしても、予想より支出が多くなるケースが後をたちません。

起業した後しばらくはお金が猛スピードで減っていきます。スタート時はお金が足りていると安心していても、数カ月後には驚くほど預金残高が減っていることも。また一般的に、起業した直後は売り上げが十分に上がらず赤字が続きます。

起業後すぐに黒字化できる事業は1割にも満たないと考えてください。さらに黒字化しても売上のお金が現金化するのは数ヶ月先になります。クレジットカード決済された場合、クレジットカード会社から入金されるまで約1ヶ月もの期間が必要な場合があります。その間も先に経費が出ていくので、現金が恐ろしい速度で減っていきます。

これではいけないと慌てて資金調達を考えても、創業間もない会社に即時融資してくれる融資先を見つけるのは容易ではありません。起業する際は外部から融資を受け、十分なキャッシュを確保したほうが安全です。自己資金はできるだけ抑えて、いざと言うときの資金としましょう。

今後融資を受けやすくなる

今後、事業を拡大する、新しい機材を導入するなど考え融資を必要とした際、融資を受けやすくなります。

一度融資を受けた先だけでなく、誤差はあれ、どの金融機関でも借りやすくなるのです。

創業融資を受けていれば一度融資審査に通っているという実績があるので、「この事業にお金を貸してもキッチリ返金される」と捉えられるからです。そのため審査期間が短くすぐに融資実行となり、資金繰りが楽になります。ただし業績が極端に悪化していないことと、返済の遅延がないことが大前提です。

日本政策金融公庫の創業融資は無担保・無保証で借りられる

日本政策金融公庫の「新創業融資」は、無担保・無保証でお金を借りることができます。

一般的な融資では担保・保証人が必要です。創業時という社会的地位もそれほど確立されていない時期に無担保・無保証でお金が借りられる素晴らしい制度です。一度創業してしまえば「担保必須・保証人必須」でしか融資が受けられないことを考えると、創業時に融資を受けておいた方がリスクを抑えて事業を拡大できます。

事業計画書をしっかり作り込むチャンス

創業融資を受ける際には必ず事業計画書の作成が必要です。

事業計画書の作成は、数字を一から計算し、その根拠を示さなければならず、大変骨の折れる作業です。しかしだからこそ、非常に良い面もあります。事業計画書は自分のビジネスモデルの集大成です。創業が初めてであれば自分では気づかない穴がいくつも潜んでいる可能性がありますよね。

例えば根拠もないのに来店者数を多く見積もる、コストの計算が大雑把で実際は赤字になるかもしれない、といった穴です。その穴を創業前に他の人に見てもらいきちんと作り上げることで、創業後に大きくこけてしまう可能性を極端に低く抑えられます。

融資を審査する金融機関のプロが事業計画書を精査してOKと言うのなら、あなたのビジネスプランが認められたことに他なりません。足元を固めた創業を行うためにも、事業計画書をきっちり書き上げましょう。

融資を受けることのメリット・デメリットを正しく把握しよう

融資は正しく利用すればあなたの事業を大きく加速できる魔法のような仕組みです。しかし借金を背負うという不安を抱えることでもあります。

ここでは融資を受けることのメリット・デメリットを可視化して把握し、あなたにとって何が一番大切かを考える指標としてください。

融資を受けるメリット

  • 成長スピードを加速できる
  • 頑張る意識が高まる
  • 金融機関からの信用が高まる

融資を受けることで自己資金や売上金だけでは購入できなかった新しい物品やサービスが、早い段階で手に入れられます。融資を受けなければ3年かかるところを1年に短縮できることもあります。着実に返済していけば金融機関からの信頼も得られます。さらにスピード感のある経営を行い、事業をますます拡大していけますね。

融資を受けるデメリット

  • 利息の負担が増える
  • 万が一返済が滞ると財産差し押さえにもつながる
  • 借金があるという不安を感じる

融資とはつまり借金です。お金を借りている以上利息を含めて全額返済しなければなりません。現在は低金利とはいえ利率1%~2%程度は見ておきたいところです。

つまり1000万円借りたら年間10万円の利息を見込んでおきましょう。また「借金」というだけで負担に感じる人もいます。強迫観念の強い人にとっては、借金という不安を感じながら健康的な経営を持続するのは辛いことかもしれません。

自己資金のみで起業するのはハイリスク

起業後は驚くほど早くお金が減っていく

創業間もなく売上が発生し、黒字となることは9割がたあり得ません。

売上が上がらない理由は、まず認知されていないことです。取引先やお客さんを見つけて売り込み、気に入ってもらい、リピート購入してもらって初めて安定した経営が見込めます。それまでには半年以上の歳月がかかるとみて間違いありません。

ではこの半年間にかかるお金はどうするのかというと、創業資金を切り崩す他ないのです。店舗の賃料や給料などを、身を削って支払っていく必要があります。見通しを立てていたとしても、それが現実に起こりうるとは決まっていません。

事業が安定するまでどれほどの時間が必要かは誰にも分かりませんので、売り上げが安定するまではもうスピードで預金残高が減っていきます。

起業時期が最も融資を受けやすい

創業してから事業を拡大したくなり融資を申し込むのと、創業時に融資を申し込む、どちらが融資審査に通りやすいでしょうか。

実は圧倒的に「創業時」が融資に通りやすいのです。

その理由は「実績」です。創業時は実績などなくて当たり前です。ですから審査対象となるのは「自己資金」「これまでの経験」「事業計画」の大きく3点に絞られます。自己資金が多少足りなくても、事業計画さえきっちりと作り込んでいれば創業融資は受けやすいのです。

一方で、創業後1年以上経過した場合では、所得税申告のために必ず決算書が作成されています。金融機関はこの決算書を元に融資可否を決定するのです。しかし創業1年目や2年目の決算書はそのほとんどが赤字です。創業当時から順調に黒字決算となることはほぼありません。こうして資金繰りが苦しくなってから融資を申し込んでも、金融機関の審査は厳しくなってしまいます。

資金調達のノウハウを習得する

「お金を貸して欲しい」と言えば誰にでも、いくらでも貸してもらえるものではありません。

売上を上げることや仕事をスムーズに進めることと同様に、融資を受けるにも抑えるべきポイントがあるのです。自己資金のみで起業すると、融資を受ける流れやポイントを知らないまま独立することになります。

今後経済の激変などで突然資金調達を考えたときに、他のライバルより一歩出遅れてしまいます。創業融資を受けることで資金調達のノウハウを身につけ、今後の事業展開に活かしましょう。

創業融資を受けた企業ほど長く続いている

「借金するのが怖い」と考える人は多いものですが、実は「創業時に融資を受けた方が、事業が長続きしている」のも事実です。

少し古いものですが経済産業省のデータから計算すると、創業3年での廃業率は約50%。およそ半数が廃業しています。

ところが日本政策金融公庫の新規開業パネル調査によると、創業から5年後の廃業率は10.2%。およそ90%の企業が5年後も存続しています。日本政策金融公庫の新規開業パネル調査は、日本政策金融公庫での融資借入を行った企業に限定して数値をとっているため、日本政策金融公庫から融資を受けている事業者の存続率が圧倒的に高いことが分かります。

融資を受けていない場合の存続率と比較すると約3倍もの存続率の違いが発生しています。これは一体なぜでしょうか。考えられる理由は以下の2点です。

創業時から資金面で余裕があった

先ほどの日本政策金融公庫の新規開業パネル調査の「事業の月間収入」結果から、開業直前〜1年後までの月間収益が30万円以下の企業が半分を占めていました。

つまり創業当初は資金繰りに行き詰まる企業が多いということです。

しかし赤字でも融資を受けてキャッシュが手元にあれば当面の危機を乗り越えられます。融資を受けていない事業者は資金面の問題から、この難関を乗り越えられなかったと考えられます。

日本政策金融公庫の融資面談をクリアできた

日本政策金融公庫の新創業融資は通りやすいとはいうものの、事業計画の見通しが甘ければ融資してはもらえません。

融資面談をクリアするために自分のビジネスプランをブラッシュアップし、創業前から事業をより強固なものにできたと考えられます。日本政策金融公庫からも「この事業者ならしっかりビジネスをやり続けて完済できる」と考えたからこそ多額の融資を実行してくれます。短期間で廃業しそうな事業に日本政策金融公庫は資金を貸してはくれません。

日本政策金融公庫のお墨付きをもらえるビジネスプランをしっかりと立てたことが、のちの存続率に繋がっているのでしょう。

日本政策金融公庫の融資面談をクリアできた

創業融資・資金調達に関連する記事

事業用融資の借換とは?融資借換の4つのメリットと3つのデメリット

事業用融資の借換とは?融資借換の4つのメリットと3つのデメリット

事業用融資を上手に借換すれば、返済総額を軽減できたり、融資先を一本化して管理しやすくなったりと魅力的なメリットに目を奪われがちですが、同時に知っておくべき注意点も存在します。
注意点を知らずに借換を行うと、総返済額が増えてしまったり、今後の事業展開に支障をきたしたりする恐れがあ...
事業用融資の借換とは?融資借換の4つのメリットと3つのデメリットの画像

【融資の保証料とは?】実はお得に融資を受けられる制度有り!

【融資の保証料とは?】実はお得に融資を受けられる制度有り!

「保証料」について正しく理解していますか?

個人事業主や中小企業が、銀行や信用金庫などの民間の金融機関から融資を受ける際に耳にする機会のある「保証料」。
融資の返済の際に利息に加えて、支払わなければならない費用の一つですが、元金の返済に加え、利息と保証料を支払わなければならないと...
【融資の保証料とは?】実はお得に融資を受けられる制度有り!の画像

【日本政策金融公庫】信用情報取得後はここを見ろ! たった3つのポイントをチェックするだけで安心して融資申請できるかどうか分かる!

【日本政策金融公庫】信用情報取得後はここを見ろ! たった3つのポイントをチェックするだけで安心して融資申請できるかどうか分かる!

みなさんは日本政策金融公庫で融資を受ける際、自身が融資申請に確実に通る自信はありますか?

融資を受けるために色々と準備をしている中でふと、「そういえば過去にローン返済の延滞したことがあるな」「そもそも自分は融資審査が通るのか?」など不安に思う方もいるのではないでしょうか。

そうい...
【日本政策金融公庫】信用情報取得後はここを見ろ! たった3つのポイントをチェックするだけで安心して融資申請できるかどうか分かる!の画像