創業融資を受けるために、なぜ創業計画書が必要なのか?

創業融資を受けるために、なぜ創業計画書が必要なのか?

日本政策金融公庫に限らず、銀行でも信金でも、創業融資を受けるためには創業計画書が必要です。

創業の計画は全て自分の頭の中にあるのだから書く必要などない。なぜわざわざ紙に書き起こさなければいけないのか、と疑問に思うことでしょう。

今回は創業計画書の作成する時期、記載する内容等、創業計画書を書く前に疑問に思うポイントについてまとめました。

創業計画書が必要な理由

創業計画書や事業計画書を作成する目的は

①仲間を募るため

②新規取引先の開拓

③ビジネスのブラッシュアップ

など多岐に渡ります。

どのような目的で作成するかによって、創業計画書の記載内容やまとめるポイントが変わってくるのです。

今回は「創業融資を引き出すため」が最も重要な理由になります。

創業融資を引き出すための創業計画書はどのようなもので、なぜ必要なのかを考えていきましょう。

自分の頭を整理するため

自分の頭の中のビジネスモデルを整理し、簡潔化するためです。創業前には、多くの人が「あれをやりたい!」「こうしたい!」と、様々な目標を想い描くものです。ところが、いざそれを書き出してみようとすると、なかなかまとめられなかったり、間の工程が抜け落ちていたりします。

その原因は主に2つに分類されます。

  • 自分のやりたいことを重視し過ぎている

お客様に購入してもらってお金をもらい、はじめてビジネスとして成り立ちます。ところが自分のやりたいことへの情熱が強過ぎて、本当にお客様にとっても必要な商品・サービスなのかを深く考えられていないケースです。

2 現実的な販売方法を考えていない

こちらは販売方法や実際売り出した際の販売予測が立てられないケースです。どれだけ良い商品であっても、求めているお客様の元へ情報が届かなければ購入してもらえません。

ネット販売にするのか店頭販売だけなのか、チラシを撒くのかSNSで店を知ってもらうのか、あるいはダイレクトメールなのか。

日本人は特に販売が下手だと言われています。

確実に集客できる方法などありませんが、販売手法はこれでもかというくらい念入りに考えておくべきでしょう。

融資担当者に効率よく説明するため

日本政策金融公庫でもそのほかの金融機関でも、創業融資を行う際は融資担当者との面談があります。この際にあなたの新規事業を説明するのですが、ただ単に思いつくまま話すのは良いとは言えません。面談は長くても2時間程度で終了となります。その間に、あなたの事業計画を担当者に理解してもらわなければいけません。どれだけ話し上手な人でも、多岐にわたる事業計画の全てを時間内に話し終え、かつ担当者に齟齬なく理解してもらうことは極めて難しいものです。そこで重宝されるのが「創業計画書」ということになります。

ビジネスモデルが端的にまとまった「創業計画書」を担当者が一読すれば、大まかなビジネスモデルが伝わります。これで面談時間を大幅に圧縮でき、余った時間で細かい説明ができるというわけです。

事業を持続させるため

経済産業省のデータから、創業3年目に存続している会社は約50%です。逆に捉えると、創業3年以内に半分程度の会社が廃業していることになります。廃業の理由は様々ですが、最も分かりやすい理由は「計画通りの利益を得られないため」です。創業計画書が大雑把であれば、かかる費用はどんぶり勘定となりますし、売上予測も利益額も現実からかけ離れた数字になるでしょう。その結果、思うような利益が上がらず、廃業に至るケースが散見されます。

事業の計画は創業後に日々見直していければベストですが、いざオープンしたら日々の作業に追われお落ち着いて数字を拾うことはほとんどできなくなります。事業を安定的に発展させ持続していくためには、創業前に売上予測と原価をしっかり捉え、損益分岐点を割り出し、赤字にならないよう思考を巡らせることが重要なのです。

創業計画書を作成する時期

創業計画書は創業前に書き出すものですが、創業直前にパパッとまとめてしまえるものでもありません。ではいつ頃から作成しておけば良いのでしょうか?

「今」がベスト

創業計画書を書くのは、思い立った「今」がベストです。「まだ創業しないし」「後何年後かに独立する予定だから」と計画書を書かないでいるのは勿体無いですし、計画性の面で今から創業時のライバルに差をつけられてしまいます。書き出す内容は創業計画書通りでなくても良いのです。思いつくままに書いてください。

事業内容は?販売する商品・サービスは?自己資金は?店舗の場所?販売方法は?客単価は?固定費は?

あなたがワクワクするような計画を練り、それを数字に落とし込んでください。

仕事の合間や、通勤電車の中、休日のカフェなど、思い立った時にノートや手帳に計画を書き出していきましょう。

数年後に創業を予定しているのなら、創業予定日とその日までに行うことを書き出すと尚良いですね。例えば自己資金を○百万円貯めるために、毎月○万円貯める、など。前もって念入りに計画しておくことで、実際に創業する際に慌てずに動き出せます。

実際に書いてみることが重要

創業計画書を作成する際に大切なことをお伝えします。

それは「実際に書いてみること」です。

これまで幾度となく頭の中で創業計画を練ってこられたと思いますが、考えているだけだとどうしても考えがまとまらず散漫になってしまいがちに。創業計画書の形式になっていなくても全く構いませんので、紙やパソコンで書いてみてください。これまで不明瞭だった部分が浮き彫りになり、創業までにしなければならないことが一目瞭然になります。「いや、書かなくても絶対に大丈夫。問題ない」と思われる方も、備えあれば憂いなし。一度試しに書いてみることをお勧めします。もししっかり細部まで書けたなら、そのまま融資面談に持ち込めば良いのですから。

何度も書き直してブラッシュアップする

時間をおいて何度も書き直してみましょう。

創業計画書を書く上で陥りがちなことの一つが、当初書いた計画書を絶賛してしまい、見直しを行わないというものです。一度書いたものも時間を空けて読み直してみると「ちょっと分かりにくい」「ここで言いたいことはなんだっけ?」と疑問に感じる部分も出てくるはずです。情熱に任せて書いた文章は、熱量は素晴らしいですが、冷静さに欠けることも。一晩寝かして書き直し、1週間寝かして書き直してください。誰にでも読みやすく人に伝わりやすい創業計画書にブラッシュアップしていきましょう。

入念なリサーチが肝心

「机上」で満足しない

創業計画書を「机上の空論」としないためにも、入念なリサーチは必須です。ここでリサーチについて、飲食業を例にとり簡単にご紹介します。

  • 出店予定地に実際に足を運び、交通量や人通りを調べる
  • アルバイトの平均単価を調べる
  • ライバル店舗の客単価を調べる
  • 店舗の家賃を調べる

上の例以外にも、成長できる起業家は創業前から多くのリサーチを重ね、より信頼できる数値を基にした創業計画を作成していきます。

自分でまとめることで経営センスを身につける

創業融資を引き出すためだけに創業計画書を作成するのであれば、専門家に頼んで作成してもらえば良いのです。

しかし全て丸投げしてしまえば、その創業計画書はあなたの夢と覚悟が詰まった計画とは言えません。キレイなだけの創業計画書は、創業融資を引き出すことはできるかもしれません。けれど、今後その計画通りに事業を展開することは困難でしょう。自分で創業計画書をまとめる体験を通して経営センスを学びましょう。

税理士に頼むなら

もし自分で創業計画書を作成できない・自信がないのなら、創業計画書の作成を税理士に依頼するのも一つの手段です。税理士に依頼する場合は、下記の点に注意してパートナーを選んでください。

  • 丸投げしない

現在では、面識もないままネット上で創業計画書を作成してくれるサービスもあるようですが、こういった「丸投げ」の業者はお勧め致しません。なぜなら、このような丸投げサービスでは融資に通らないことも多く、その上融資に落ちた後のケアもないものが多いからです。あなたが創業計画書を作成する最大の目的は「創業融資を受けること」のはずです。丸投げの業者には依頼せず、あなたと二人三脚で計画を練ってくれる税理士を選びましょう。

2 やりたいことを理解してくれる

相性もありますが、あなたのやりたいことを理解してくれる人を選んだ方がスムーズです。例えばネットに詳しくない税理士に「楽天とヤフーに出店してこれを売りたいんです」と説明しても、相手が理解するまでに時間を要します。また、あなたのやりたい事業を聞こうとしない税理士は、あなたにとって良き理解者とはなりえません。あなたのやりたいことに耳を傾け理解してくれる人を探してください。

3 絶対に融資が受けられる保証がないことをしっかり説明してくれる

融資が下りるかどうかは最終的には金融機関の担当者が判断します。税理士はできる限り融資に合格できるよう手伝ってはくれますが、それも絶対とは言い切れません。

ですから「私に任せてくだされば絶対に融資を受けられます」と言い切る税理士はよした方が良いでしょう。何事にも100%はありません。ここまで言い切らなければ顧客が獲得できない税理士と捉えましょう。

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