融資審査の判断基準とは?銀行や日本政策金融公庫の基本的な考え方

融資審査の判断基準とは?銀行や日本政策金融公庫の基本的な考え方

日本政策金融公庫やそのほかの金融機関で創業融資を受ける際、気になるのは「融資の審査基準」ですよね。審査基準がわかっていれば、早く確実に創業融資が受けられるように、はじめから正しい努力ができます。しかしながらどの金融機関でも「これをクリアできれば融資します」と記載されていることはなく、どのような審査が行われているのかは謎に包まれています。

今回は融資を行う金融機関側の事情を元に、創業融資を受けるのに必要な絶対条件や審査基準についてまとめました。


絶対にクリアすべき要件

融資の審査基準を確認する前に、前提条件の確認を行ってください。

具体的には「融資の対象か」と「法的にクリアなビジネスモデルか」の2点です。

誰もやったことのない画期的なビジネスモデルであるほど、この2点は非常に重要です。なお「法的にクリアかどうか」とは、犯罪か否かを問うているのではありません。「現在の法律に基づき、ビジネスとして成立するかどうか」です。法律は万能ではありませんから、あなたの考えたビジネスモデルが違法と判定されてしまう可能性がないとは言い切れません。もし不安があれば、事前に行政書士や弁護士に相談し、不都合がないかの見極めが必要です。

融資制度の対象か

融資を受けるにあたって、その融資の要件に該当するかをまずはチェックしましょう。

例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度は「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」と定められています。すでに事業開始後3年が経過している場合、新創業融資の要件に該当せず、どれだけ素晴らしい事業計画書を作成しプレゼンしたところで融資は受けられません。融資制度の要件を確認し、要件を満たせる融資制度を探してください。新創業融資ではない融資を受けられるため、相談してみましょう。

許認可の取得と必須資格の取得ができるか

これから始めるビジネスに許認可が必要な場合、許認可の取得ができることが絶対条件です。法的に問題があり許認可を得られないビジネスモデルですと、確実に融資審査は通りません。飲食店であれば保健所の許可が必要です。

必須資格も確認を怠らず。例えば飲食店の開業に絶対必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つです。その資格を取得した上で「食品営業許可」と「防火管理者専任届」の許可申請が必須です。

なお飲食店舗の無許可営業は、食品衛生法違反となり2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます。

主な許認可が必要な業種と資格

業種資格など手続きの種類所管官庁
飲食店食品衛生責任者・防火管理者許可保健所
軽トラック運送業運行管理者許可運輸局長
美容院美容師届出保健所
クリーニング店クリーニング師届出保健所
一般労働者派遣派遣元責任者許可厚生労働大臣

創業融資の審査基準5つのポイント

自己資金

日本政策金融公庫の新創業融資は、担保も保証人もなしでお金を貸してくれるありがたい制度です。ただしある程度の自己資金がないと、「やる気がない」「計画性がない」と判断され融資審査に落とされてしまいます。自己資金が潤沢であればあるほど融資審査に有利です。

原則として自己資金は「通帳などで確認できるキャッシュ」「見せ金でないこと」が大前提です。通帳などで第三者(この場合なら融資面談の担当者)に一目瞭然な形でないといけません。タンス預金のように「現金はあるがその出所が第三者には分からない」お金は自己資金と見なされません。同様に、親戚や知人から一時的に借りた見せ金も自己資金としてカウントされません。融資面談の担当者は金融のプロですから、いくら通帳に入金があり、うまく誤魔化そうとしても見せ金はバレます。

なお親戚など誰かからお金を受け取り、そのお金を開業資金とする場合も自己資金とはみなされません。給料から毎月コツコツためたり、退職金を自己資金に充てたりした「自分で稼いだお金」が自己資金として認められるお金です。

経営者としての能力

  • これまでの経験

これから立ち上げる事業の経験が、どれほどあるかが問われます。一般的な企業の融資であれば、過去の実績を元に融資可否が決定されます。しかしながら新規事業者の場合は実績がないので、代わりに代表者のこれまでの経験を判断材料とするのです。経験は「質」と「量」どちらも重要です。アルバイトで同じ作業を10年続けてきた方も素晴らしいですが、5年間でアルバイト→マネージャー→店長とステップアップしてきた方が、より有利です。

同業でなくとも、これまでの経験でどんなノウハウやスキルを身につけてきたか、今後立ち上げる事業でどのように役立つのかをどれだけ説明できるかが融資審査通過の鍵となります。

  • 経営者になりうるか

事業に対する熱意や説得力を見られます。例えば、受け答えがおどおどしていたり自信なさげだったりすると「この人は自分の事業プランに自信がないのだな、何か不都合が起こればすぐにやめて逃げ出してしまうかもしれな」と感じ取られてしまいます。金融機関もボランティアではありませんので、確実に貸したお金を返してくれる人にしか融資をしてはくれません。自分の事業プランに自信をもち、経営者たる態度と立ち振る舞いを心がけましょう。

  • 資金の管理能力

個人信用情報に事故情報が掲載されていると一発でアウトです。創業融資を受けることは難しいでしょう。

個人信用情報とは、個人がクレジットカードやローンの申し込みをした際に金融機関同士で共有する情報です。クレジットカードの支払いが遅れたり、ローンの返済が滞ったりすると、個人信用情報に事故情報が残ります。融資を申し込んだ金融機関は、当然あなたの個人信用情報を調査します。

他にも光熱費や電話代、家賃などの支払いが頻繁に遅れていることも融資に大きく影響します。最も如実に影響するのは「税金の滞納」です。所得税や住民税、水道代の支払いが遅れていると融資不可となる可能性が非常に高くなります。もし万が一融資をした後に返済不能となった場合、融資資金の回収よりも税金の取り立てが優先されるためです。

起業を考え始めたら、身の回りの支払い関係をキレイして、融資申込みの前には自分の個人信用情報を請求して、事故情報がないかをチェックしてください。

返済能力

  • 確実に返済されるかどうかが融資可否を分ける

融資を実行する金融機関にとって、最も重要なことは「貸したお金を絶対に返済してくれるか」です。そのために様々な方向からあなたのビジネスプランをチェックしています。

そしてその際たるものが返済の妥当性です。まずは事業計画の数字上で、返済可能であることを示しましょう。

具体的に申し上げると

「税引後利益+減価償却費>返済予定額」

この数式が成り立つことを意味します。

  • 「税引後」の税金とは?

個人事業であれば確定申告をして支払う所得税などを、

法人であれば決算確定後の法人税や法人住民税などを指します。

事業計画書作成上の支払う税金は、利益の約3割を目安として作成してください。

  • 減価償却費とは?

100万円を超えるような大きな買い物をした時には、何年かに分けて経費にできます。例を挙げると、創業1年目に購入した100万円の大型冷蔵庫を、決算書上では数年に分けて費用計上できる、ということです。

減価償却費は、その年に支払った金額ではありません。ですから決算書上で「減価償却費」が計上されていても、実際は事業からお金が出ていません。そのため、決算書作成時に算入した減価償却費を足し戻す必要があるのです。

詳細は税理士や金融機関の融資担当者にご相談ください。

  • 返済予定額の計算方法は?

融資を受けるにあたり、金融機関ごとに設定されている利率を確認し、年間で返済する元本と利息額を計算してください。それが返済予定額になります。

  • 事業計画を納得させるだけの根拠が必要

事業計画書上で返済可能であっても、その根拠がなければ融資は厳しいものとなるでしょう。例えば飲食店であれば、客単価と回転数が現実とかけ離れている、立地に対して来店数を多くカウントしている、開店1日目から理想の顧客数が来店すると試算している、などが融資の不可要因にあたります。

客単価と来店数は出店場所の同業他社に出向いて生きた数字を拾いましょう。立地条件とターゲット層がマッチしているかも同時に確認を。集客方法もしっかりと考えてください。良い商品を並べていても、口コミで広まるには思った以上に時間がかかります。自ら宣伝し、1日でも早く理想の利益額が出せるように集客方法とその根拠も考えておきましょう。

資金用途

  • 融資希望額と資金使途を明確に

融資は、使う予定の範囲内でしか借りられません。例えば、開業にかかるお金が全体で1000万円必要だとしましょう。自己資金で500万円を準備できるとするなら、融資申込みができるのは500万円までです。

何にいくら必要なのかを明確にし、「だからこの金額を融資してください」と言い切りましょう。資金使途が明確でないにもかかわらず「とにかくできるだけ借りたい」と、融資限度額いっぱいまで融資の申し込みを行っても「これほどのお金は必要ありませんね」と一蹴されるのがオチです。

開業にかかるお金を備品の一つ、人件費一人分からしっかり落とし込み、使い道と融資希望額を導き出しましょう。

  • 立ち上げ時に備品代がかからないなら融資は低額になる

当然ながら、開業に莫大なお金がかかる事業と開業資金が少なくてすむ事業があります。飲食店を開業するなら、不動産契約や内装整備などで莫大な費用がかかります。このような場合は融資額も高額が期待できます。一方でフリーのイラストレーターなどデータでやりとりするような仕事であれば、事務所を借りてデスクとパソコン、絵を描く道具一式があれば始められますから、初期費用はかなり抑えられます。自己資金額にもよりますが用途が決定している枠内でのみ借入可能ですから、このようなケースでは融資可能額もそれほど期待はできません。

その他のポイント

  • 資産の保有状況

担保にできる不動産や、預貯金の残額などを見られます。不動産を担保にできれば利率が下がりますし融資は有利に運びます。自己資金以外の預貯金残高も多ければ多いほど有利です。事業がうまく運ばなくても、自己資金を生活費に溶かしてしまう可能性が減るからです。

  • 家族構成

実は家族構成も重要なポイントです。両親やパートナーがいて事業のよき理解者であるなら、あなたの事業を手助けしてくれたり、資金を贈与してくれたりする可能性が考えられます。そのためあなた自身だけでなく、周囲の人たちのこともしっかりと見定められているのです。

その他のポイント

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