日本政策金融公庫での融資を受ける準備から返済開始までの流れ

日本政策金融公庫での融資を受ける準備から返済開始までの流れ

日本政策金融公庫はまだなんの実績も出していない創業者に、担保なしでもお金を貸してくれる心強い味方です。しかしながら事前知識なしに飛び込んでもさすがに門前払いを食らうだけ。

そこで今回は、日本政策金融公庫で融資を受けるための流れや事前準備などについて解説します。


日本政策金融公庫の概要

日本政策金融公庫とは、株式の100%を政府が出資している政府系の金融機関をいいます。国の政策に基づいて

①中小企業に対する長期事業資金の貸付

②個人事業者に対する小口の事業資金の融資

③創業支援などを目的とした政策金融機関です。

特に開業資金など、民間銀行からの融資が困難な場合に創業者の強い味方となってくれます。日本政策金融公庫は小さな企業に対しても「何とか融資をしたい」という姿勢で接してくれる、創業融資に最も積極的な金融機関です。

ところで、日本政策金融公庫は一般の銀行と異なり、通帳や口座がありません。一般の銀行から借り入れをするケースでは、該当の銀行口座への給与振り込みのような銀行との取引実績が必須事項です。一方、日本政策金融公庫の場合は取引実績が皆無という起業家でも、安心して融資を申し込むことができる仕組みになっています。なお日本政策金融公庫からの融資の振り込みや返済は、一般の銀行を通じて行われます。

日本政策金融公庫での融資の流れ

事前相談

いきなり融資を申し込むのではなく、事前相談をしましょう。電話や商工会議所でも受け付けてくれますが、日本政策金融公庫への来店がお勧めです。融資の面談はほぼ100%日本政策金融公庫の店舗内で行われます。面談時に緊張してうまく話せないとなると、せっかくの時間や労力が無駄になるばかりか、融資実行が後ろ倒しになってしまいかねません。事前相談は日本政策金融公庫へ来店しましょう。事前相談の中で融資に必要な書類・面談日程・融資を受ける流れなどを教えてもらい、来るべき面談日に備えて日本政策金融公庫の雰囲気に慣れておくことが重要です。

なお一部の店舗に関しては来店予約が必要です(令和2年6月現在)。こちらから来店予約が必要な店舗かをご確認ください。

申し込み

下記の必要書類を提出します。

個人

  • 借入申込書
  • 直近2年間の確定申告書
  • 創業計画書

法人(会社)

  • 借入申込書
  • 直近2年間の確定申告書・決算書
  • 創業計画書
  • 登記簿謄本
  • 最近の試算表


申込書と創業計画書は日本政策金融公庫の窓口で受け取るか、公式サイトからダウンロードが可能です。

提出方法は郵送か来店のどちらかです(令和2年6月現在)。

面談

借入申込書を提出すると日本政策金融公庫の担当者から連絡があり、面談の日時を調整します。最短で申し込みをした翌日に面談となる場合もあります。担当者から提示された日程の都合が悪ければ別日程に変更できますので、ご自身の予定をしっかり伝えてください。

面談日が決まったら、その日までに上記以外の必要書類をまとめておかなければいけません。面談に必要な書類については、日本政策金融公庫の担当者から連絡があった際に確認しておくのがよいでしょう。

面談時間は30分〜2時間程度です(平均1時間程度)。この時間内に自分のビジネスプランを説明しなければなりません。

審査期間待機

面談の内容を元に審査が行われます。期間はおよそ1週間〜2週間です。この間に面談の担当者は出店予定地を精査し、採算が合うかどうか、ちゃんと返済してもらえるのかなどを見極め、上層部に書類をまとめて融資の可否を問います。面談時に書類が揃っており、しっかりと説明ができていればスムーズに進みます。

融資決定

融資審査の結果は基本的に郵送ですが、電話の場合もあるようです。もし審査に通らなかった場合は、基本的には6ヶ月後には再度申込ができますが、融資ができなかった課題事項が解決できていない場合は、再申し込みをしても、落ちてしまいます。

書類返送

融資が決定すると、融資契約のための必要書類が郵送されてきます。

契約に必要な書類は以下のとおりです。

  • 借用証書
  • 収入印紙
  • 印鑑証明書
  • 預金口座振替利用届
  • 送金先口座の預金通帳のコピー
  • 包括同意書
  • 団体信用生命保険の申込用紙
  • そのほかの書類

記入や捺印に不備があると融資実行が遅れてしまいますので、返送前には漏れのないように確認しましょう。日本政策金融公庫への持参か郵送になります。持参が最も早く確実でベストですが、郵送する場合は、書留のような配達記録の残る郵送方法を採用してください。

融資実行

必要書類が全て揃っていれば、おおよそ3日後には指定口座に融資資金が振り込まれます。

なお振込先口座にネット銀行は選択できません。ネット銀行とは、銀行窓口や通帳がない銀行のことです。具体的には、楽天銀行・ソニー銀行・ジャパンネット銀行などが当てはまります。

逆に言うと、店舗がある金融機関なら銀行でなくても選択可能です。例えば信用金庫・信用組合・ゆうちょ銀行は、融資資金の振込先にできます。

返済開始

融資資金が振り込まれたら、原則として翌月から返済が始まります。しかし創業間もない頃はうまく売上が上がるか不安もありますよね。そんな方のために、返済開始までの据え置き期間を設けることもできます。ただし据え置き期間中も金利は発生するので注意してください。

返済日は毎月5の倍数の日から選べます。日本政策金融公庫の担当者とよく話し合っておきましょう。

日本政策金融公庫に融資申込の前に準備すべきこと

資料を作り込んでおく

しっかりと資料を作成し「何を聞かれても答えられる」という自信を持ちましょう。基本的には創業計画書について1から100まで答えられるようになっておけば良いでしょう。もっとも厳しく追求されるのは、売上や利益。日本政策金融公庫もビジネスとしてお金を貸しているので、融資したお金が返済されることが絶対条件だからです。エクセルなので構いませんので、損益計画を作成しましょう。また、計画通り利益が出なかった場合の対処法なども準備しておくと面談当日に慌てずにすみます。

店舗を仮押さえしておく

店舗の場所が決まっていなくても融資の申込はできますが、可能な限り店舗を決め、仮押さえしておきましょう。仮押さえには3つのメリットがあります。

1つめは「他の人に取られることを防ぐため」。うまく融資がおりてもせっかくの店舗を他の人に取られてしまっては困りますよね。

2つめは、「面談時の説得材料になるため」。店舗の立地から人通りやライバルなどを分析し付随資料とすれば、面談担当者を納得させられる材料となりえます。

3つめは「本気度が示せるため」です。仮押さえもしていない状態で融資申込を行なっていると「もしかして融資がおりなければビジネスを始めないつもりなのか?その程度なのか?」と疑問を持たれかねません。創業する覚悟を見せるためにも仮押さえはしておくべきでしょう。ただし、解約料が発生するような、本契約まではできるだけ避けたいですね。

自己資金を確保しておく

事業に繰入れる自己資金を確保しておきましょう。これは日本政策金融公庫からの融資を引き出す上で絶対条件です。なお自己資金は、いわゆる「見せ金」ではいけません。

自己資金の出所を再確認する

自己資金の調達方法についても再確認しておきましょう。自己資金の出所は必ず聞かれます。根拠となる資料を用意しましょう。自分でコツコツ貯めたお金であれば給与明細や源泉徴収票。親族から譲り受けた資金があれば贈与契約書。借りているなら借入書などを準備してください。

税金や公共料金の支払いに遅れがないか

税金を滞納しているとかなり不利です。また水道光熱費といった公共料金の支払いも遅れていたり滞納していたりすると、ほぼ確実に審査に落ちてしまいます。日本政策金融公庫からすると「税金や公共料金も払えない人間にお金を貸しても返済されないだろう」と思われるためです。現在滞納している方は、しっかり納税してから審査申込を行うのが良いでしょう。

法人・個人どちらで起業するか確定させておく

日本政策金融公庫に限ると、法人個人どちらであっても融資審査は左右されません。ただし必要書類が変わってきますので、融資申込前に確定させておきましょう。

もしどちらにするか決めかねておられるのなら、個人事業としてスタートしてもよろしいかと考えます。利益が確保できるようになってから、法人化することはそれほど難しくないです。

融資面談で落ちてしまってから再挑戦するまでの流れ

残念ながら日本政策金融公庫の融資面談に落ちてしまっても、再挑戦が可能です。ご安心ください。

もしも落ちてしまった時の対処法をお伝えします。

審査落ちした原因を探る

まずはなぜ審査落ちしてしまったのか原因を突き止めましょう。大体のケースでは「税金などの滞納」「自己資金不足」「経営計画が甘い」のどれかです。審査面談の際の担当者の様子などをできる限り振り返り、どこかに違和感はなかったか考えてみてください。

原因を掴んだら改善できることは改善し、前回よりもアピールできるよう準備を整えましょう。直接担当者に、落ちた原因を聞いてしまうのがおすすめです。

再申込は6ヶ月後

融資の再申込みに表立って制限は課せられていませんが、現実的には約半年間の期間を置く必要があります。また、再申込をしたからといって必ず融資審査が通るということでもありません。融資が通らない可能性も考えた上で行動を起こすことが大切です。

再申込までに他の融資も検討する

上記でも説明しましたように、日本政策金融公庫の融資再申込は前回の申込から半年後以降に可能になります。

したがって選択肢は、

①起業スケジュールを後ろ倒しにする

②別の方法で資金を調達する

③今ある資金で起業する

の3パターンです。

日本政策金融公庫に再申込するとしても6ヶ月後までは申請できないのですから、それまでに他の手段で資金を調達できないかも検討しましょう。地方公共団体の制度融資や各種補助金が利用できないかなど、創業を援助してくれる制度がないかをもう一度確認しましょう。

再申込までに他の融資も検討する

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