自己資金がなくても日本政策金融公庫から創業融資を受けるための条件とは

自己資金がなくても日本政策金融公庫から創業融資を受けるための条件とは

人生にははずすことのできないタイミングがいくつか存在するものです。創業のタイミングもその一つでしょう。素晴らしく魅力的な立地が奇跡的に空き、出店するための知識や人脈も揃い、今創業するほかないと奮起に燃えることもありますよね。しかしここでひとつ問題が。費用面の問題です。

いきなり創業を考えた場合、自己資金が乏しくそのままでは開店が難しいこともあるでしょう。そこで日本政策金融公庫や各種金融機関に融資の申し入れを行っても、大概は門前払いされてしまいます。

これまで経営してきた実績がない人は、自己資金の金額で融資可否を判定されることも少なくないためです。それでは自己資金がなければ絶対に融資を受けられないのでしょうか。実はそれほど自己資金がなかったとしても、日本政策金融公庫から創業融資を受けることができる人がいます。今回は自己資金が少なくても融資を受けるための条件についてご紹介します。

自己資金なしで創業融資を受ける条件

日本政策金融公庫一択

創業融資を受けるにあたり考える金融機関は日本政策金融公庫一択と考えましょう。一般的な銀行や信用金庫は、経営実績と法人税申告書や確定申告書がなく、自己資金もなければ融資をしてくれる確率は、飛行機事故に遭い奇跡的に生き残る確率よりも低いと考えてください。

もちろん担保があれば融資も通るかもしれません。しかし担保があるのなら資金繰りで悩むことなどまずないでしょう。

なお消費者金融やカードローンでの借入はまったくお勧めいたしません。その理由は大きく二つあります。第一に金利が高額なこと。最大約20%の利率が設定されており、最大利率が3%を切る日本政策金融公庫の創業融資と比較すると10倍以上の開きが出るためです。つまり、日本政策金融公庫から借りれば月額2万円の利息額で済むところが、消費者金融で借りた場合は20万円程度の利息がかかる計算になります。差額の18万円があれば新規設備の購入などに充てられますね。第二に多くの金額を借り入れることができないためです。消費者金融からの借入額は貸金業法により「年収の1/3まで」と定められています。したがって年収600万円の人でも180万円までしか借りられません。例えば飲食店を開業しようと考えた場合、180万円で不動産契約料・外装・内装・設備費用・備品費用のすべてを賄うのは難しいのではないでしょうか?飲食店の開業にかかる初期費用の平均額は1000万円との報告もあります。店舗の規模にもよりますが、家賃を伴うビジネスを開始する場合、多額の初期費用は必須です。このように消費者金融からの借入だけでは、創業費用に達しない可能性が高いのです。

自己資金なしで融資を受けるなら、創業者に最も優しい金融機関である日本政策金融公庫に絞りましょう。

現在働いている業種と同じ業種で起業する

新創業融資制度の概要をよく読んでみると、「自己資金要件」という項目があります。内容は「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」と記載されています。

したがって1000万円の融資を受けたい場合は、最低でも100万円の自己資金が必要だということに他なりません。しかしこの記載には続きがあります。

「ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。」

つまり現在と同業種で創業する場合と、一部の事業を開始する場合に限っては、自己資金がなくても要件を満たしているとみなされるのです。

現在飲食店で働いている人が、飲食店を創業しようとするケースなどがこれにあたります。「自己資金はないけど、創業する事業の経験はある」という方は、日本政策金融公庫への融資申込みが通る可能性があります。ぜひチャレンジしてください。

認定特定創業支援等事業を受けて起業する

産業競争力強化法に基づき、国の認定を受けた自治体が定める要件を満たすと、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」が交付されます。この交付を受けた創業者は、日本政策金融公庫の自己資金要件をクリアしているとみなされる他、会社設立時の登録免許税軽減や、創業関連保証枠の拡大など魅力的な支援が受けられます。

交付条件や支援内容は自治体によって異なります。創業予定地を管轄する自治体のサイトを確認して詳細を確認してください。下記に千葉市における条件と支援内容を記載します。

  • 交付条件

千葉市が指定する創業者研修・経営力強化講座・創業スクールなどへの参加。

内容は、資金計画や経理業務の講義、ビジネスプランの作成と発表、事業計画書の作成と発表などです。

これから長期的にビジネスを発展させるために重要な項目や、日本政策金融公庫から融資を受けるために必要な知識などを身につけられます。

  • 支援内容

1 登録免許税の軽減

株式会社または合同会社を設立する際の登録免許税が軽減されます。資本金の0.7%→0.35%

2 創業関連保証の特例

一般的には創業2ヶ月前からである創業関連保証が、事業開始6ヶ月前から受けられるようになります。

3 日本政策金融公庫の「新規開業支援資金」貸付利率の引き下げ

日本政策金融公庫の「新規開業支援資金」の貸付利率が引き下げられます。

4 千葉市の「商業者創業支援事業補助金」を受けられる

最大100万円の改修費と月額最大10万円の賃借料の交付が受けられます。

5 生涯現役起業支援助成金を受けられる

40歳以上の方が創業する場合に限定して、最大200万円の補助金が交付されます。

6 日本政策金融公庫の「新創業融資」の自己資金要件をみなすものとされる

原則的に1/10以上の自己資金が必要となる新創業融資の要件を満たすものとされ、自己資金が足りなくても制度への申し込みが可能となります。

自己資金なしで創業融資を受ける際の注意点

自己資金がほとんどない状態で、300万円以上の高額融資を引き出すのは難しいものです。自分がお金を貸す場合、まったくお金を持っていない相手に貸し出すのは不安がつきまといますよね。同じように日本政策金融公庫も、自己資金がほとんど無い相手に高額融資を行うことはほとんどありません。

例外規定により自己資金なしで融資申し込みが可能とはいえ、自己資金がある場合より立場が良くないことを理解して臨みましょう。

自己資金とは

自己資金がないとはいえ、0円という方も少ないのではないでしょうか。少額であっても自己資金があればそれだけ日本政策金融公庫の態度は軟化する可能性があります。ビジネスの自己資金とみなされる資金を確認して、可能な範囲で投入してください。

自己資金となるもの

  • 毎月の給料から貯めたお金
  • 退職金や生命保険の解約金など
  • 家族や親戚からもらったお金
  • 資産を売却して得たお金 など

自己資金となるのは「出どころのわかるお金」です。通帳や書類を確認すれば誰から誰に、なんの目的で渡されたものか第三者が見て確認できることが大前提です。

自己資金にならないもの

  • タンス預金
  • 家族や親戚から借りたお金
  • 他から融資されたお金
  • 出どころを説明できないお金

自分で貯金してきたこと、もらった経緯などを説明できない不透明なお金は自己資金とみなされません。

なお「借りたお金」は相手が両親や兄弟であっても自己資金とはみなされません。返済の義務がある資金は自己資金とならないためです。

家族からの支援を受けるならお金は「もらう」ようにしましょう。

自己資金が不足する場合

日本政策金融公庫からの融資をもってしても自己資金が足りない場合はどう立ち回ればよいのでしょうか。ここではそのヒントをご紹介します。

創業を延期する

自己資金が理想額に達するまで創業延期を検討します。その間に社会情勢は移り変わり、目をつけていた不動産は別店舗が入ってしまうかもしれません。ただし時間を置くことで、もっと良い店舗が見つかったり、余裕をもって創業にチャレンジできる可能性もあります。時期尚早と感じることがあるのなら、しっかりと不安材料を目視確認して創業時期をじっくり再検討することも御考えください。

現在の資金額に合わせて創業計画を変更する

資金額に合わせてビジネスプランを少し小規模化します。

予定どおり創業できますし、小型化することでさらに早く開店できるかもしれません。また小規模になるということは、それだけ目が行き届くということにもなります。創業時は行うことや覚えることが山のようにあります。ビジネスを小型化することでお金の流れがわかりやすくなり、経営の最適化を図りやすくなるでしょう。

クラウドファンディングなど他の手段を模索する

不足した資金が他の手段で手に入らないか検討します。

日本政策金融公庫からの融資が通ったなら、他の金融機関からも融資が降りるかもしれませんが、やはり自己資金が少ないと高望みはできません。クラウドファンディングで消費者に直接融資してもらう方法もありますが、開始する事業によっては資金が集まらないことも。

例えば、「たまごかけご飯の専門店」をオープンするにあたって、クラウドファンディングで資金調達し目標額の110%以上を集めた日本たまごかけご飯研究所は大成功といって良い例でしょう。しかしその影では目標額に届かないまま募集が終了してしまった例も散見されます。どのような手段で調達するにしても、日本政策金融公庫の面談同様、資金提供してくださる方にとって有益な情報や魅力的な商品提供が必須です。

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