退職金があっても創業融資は受けるべき?シニアの起業を成功させるためのポイント

退職金があっても創業融資は受けるべき?シニアの起業を成功させるためのポイント

会社員として勤めていた人が、定年退職を機に創業されることは珍しくありません。日本政策金融公庫の2019年度新規開業実態調査によると、開業時の平均年齢は43.5歳ですし、50代以上で開業する人は全体の20%以上にも及びます。開業の際、まとまった退職金を開業資金として利用することは非常に合理的です。ただ退職金で創業資金を賄えたとしても、創業融資を受けておくことは開業をよりスムーズなものにしてくれるでしょう。
今回は定年退職したシニア世代における起業成功のポイントについてお伝えします。


退職金があっても創業融資は受けるべき

多額の退職金を開業資金に充てるとしても、創業融資を受けられないか検討すべきです。というのも、予想どおりに起業が成功することはほとんどないためです。

2019年度新規開業実態調査の調査で、開業時に苦労したことの2位に「資金繰り、資金調達」がランクインしています。誰しも開業時に必要と思われる資金は準備しているはずですが、それでも資金繰りで頭を悩ませる経営者が多いのが現状なのです。開業前に予想していた以上に早くお金が出ていき、また売上見込ほど売上が立たず、結果として現金が消えていきます。

また創業時には創業融資が受けられますが、創業してしまうと追加融資は厳しくなります。金融機関からすれば、資金繰りに行き詰まった事業に融資を行なっても返済されないリスクが高いため、貸付できないのです。

予想以上に早く現金が出ていくこと、そして創業してからの追加融資は期待できないことを考えると、創業時に多めに現金を確保しておく必要があるでしょう。退職金で創業資金のすべてを賄える計算であっても創業融資を受けておき、万が一の事態に備えるべきです。

シニアの起業を成功させるポイント

創業融資にはメガバンクよりも日本政策金融公庫で

今まで給与振込や住宅ローンで利用していたからと、創業融資先に三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行といったメガバンクを選択したい人もおられるでしょう。まずお伝えしたいのは、こういったメガバンクは創業融資を行なっていないということです。事業開始後に信用保証協会による保証を受けて融資を受けることはできますが、創業直前・直後では門前払いされてしまいます。メガバンクは融資審査が非常に厳しいため、創業者には狭き門なのです。

一方で、横浜銀行や京都銀行、山口銀行のような一部の地方銀行では、創業融資に積極的に取り組んでいるところもあります。融資以外にも創業セミナーなどの支援事業を行なっているケースもありますので、一度お近くの地方銀行にお問い合わせください。

創業時に融資を受ける先として最もお勧めなのが、日本政策金融公庫の新創業融資です。新創業融資は無保証人・無担保で最大3000万円まで借入できる制度で、創業から2年以内であれば申込みが可能です。金利は〜2.8%と非常に安い上に、創業時の融資としては比較的審査が易しく、創業者にはありがたい制度です。

創業融資を検討するなら、まずは日本政策金融公庫の新創業融資を検討してください。

これまでの経験が活かせる業界を選ぶ

あなたの人脈や経験は、若い人には到底マネのできないものです。これまでの豊富な経験を活かせる業界を創業先にしましょう。仕事としての経験はないが、趣味で長く続けてきた経験も創業の役に立ちます。たとえば営業マンとして長年働いてきた傍で、料理を趣味にしていたのなら、料理教室を開いて料理を教えながらお客様に喜ばれるトークで人気を得られるかもしれません。

仕事に限らずともこれまで多くの時間を費やしてきたことを中心に創業プランを練りましょう。

生活費は多めに考えておく

創業して半年間収入が0円であっても生活できる程度の生活費を残しておいてください。創業してから生活できるほどの売上が立つまでには最低半年ほどかかります。預貯金が心もとない場合は、ご家族の協力と了承を得た上で創業すると、何かあった時にもすぐに手を差しのべてくれることでしょう。

年金を試算しておく

2020年10月現在、繰上げ請求により最低60歳から年金が受け取れます。

受け取れる年金額が少なくなったとはいえ、0円とは大きな差です。年金額を試算しておき、生活費が賄えるかどうか、賄えない場合は毎月生活費としてあといくら必要なのかを必ず確認しておきましょう。なお創業融資の面談時にも年金額についてチェックされます。聞かれても話せるように準備しておくと後々便利です。

助成金・補助金をとことん活用する

創業に際して使える助成金制度や補助金制度を隅々まで調べてとことん活用しましょう。シニア世代の創業で利用できる制度の他にも、コロナ対策用の補助金や、地方自治体独自の助成金制度など探せばいろいろと見つかります。100〜300万円程度まで支援してくれる制度もありますので、創業の形態や要件を確認して、どんどん申込みを行なってください。この記事の最後によく利用される助成金や補助金の一部を記載しています。ぜひ参考になさってください。

家族の理解を得ておく

創業資金のあるなしに関わらず、配偶者や子どもたち、ご両親の理解を得ておきましょう。人手が足りない時に手伝ってもらったり、帳簿付けの仕事を任せたりと、様々な場面であなたの力になってくれるはずです。

もし反対されたることが明白だったとしても、起業することを先に伝えておいた方が、あとで揉めずに済みます。

ある程度はプロに頼る

2019年度新規開業実態調査による開業時に苦労したことと現在苦労していることの上位5位までに「財務・税務・法務に関する知識不足」がランクインしています。創業前にはざっくりした創業計画とキャッシュフローを考え、夢の実現と現金の獲得に労力を割くことでしょう。しかし本格的に起業したあとは、現実的な細々とした作業をこなす必要も出てきます。

そのうち「財務・税務・法務に関する知識不足」は、プロに任せれば乗り越えられることです。今まで会社員として働いてきた方が、いきなり何の知識もないまま確定申告を行なったり法人税申告を行ったりすることは不可能に近いですし、自分で行うとしても時間がかかりすぎます。また各種控除要件を満たしていながら申告せずに、税金を多く支払ってしまうことにもつながります。税金や法律に関する事項は、税理士などのプロに任せてしまうことも検討してください。

準備はしすぎるくらいが丁度いい

どれだけ入念に準備をしていても、思い通りには進まないものです。

念には念を入れて創業準備をしてください。

  • ご家族の理解を得る
  • これまでの経験や人脈の棚卸をする
  • 自己資金を準備する
  • 事業計画を練る
  • 創業資金を確保する
  • 物件を決定する
  • 起業前に取引先を探しておく

リスクから目をそらさず、やるべきことをやっておきましょう。

シニア世代の起業に使える支援一覧

厚生労働省で実施されている制度です。

40歳以上の方が創業する際に、最大200万円の助成金が受け取れます。

受給要件が定められていますので、申込み前に確認しておきましょう。

日本政策金融公庫が実施している支援制度です。55歳以上の方の創業に際して最大7200万円の融資を受けられます。利息も〜2.4%と低く魅力的な融資制度と言えるでしょう。申込から着金まで約1ヶ月と、他の金融機関と比較しても短い期間で借りられる大変便利な制度です。

  • その他

創業時の助成金や補助金はシニアに限定せずとも多数存在します。

創業場所における助成金制度をぜひ調べて活用なさってください。

  • ちば創業応援助成金

たとえば千葉県内では「ちば創業応援助成金」制度があります。この制度は創業予定の方や創業して間もない方を対象に、最大100万円まで助成してくれます。

対象者:千葉県内で創業予定の方や創業して間もない方

要件:特定創業支援セミナー等に参加して終了証明書の発行を受けていることなど

補助率:対象経費の2/1以内で最大100万円

対象経費:原材料・工具器具・外注加工費・専門家謝金・賃金・設立登記費用など

  • 特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金」は、高齢者や障害者を雇用する際に受け取れる助成金です。アルバイトを募集する際に思い出しておきたい制度ですね。

対象者:労働者を雇い入れる事業者

要件:ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等からの紹介により、高年齢者や障害者等を継続して雇用すること

補助額:最大240万円

  • 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金」は中小企業庁が実施している補助金で、最大50万円が補助されます。現在は新型コロナウイルス特別対応型として、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備への投資でも実施されます。

対象者:全国の小規模事業者

要件:商工会議所などと一体となり経営計画を作成すること

補助率:2/3で最大50万円

対象経費:機械装置・広報費・展示会等出店費・旅費・開発費・資料購入費・借料・専門家謝金・設備処分費など

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