今やるべき?それとも待つべき?コロナ禍中の創業融資について

今やるべき?それとも待つべき?コロナ禍中の創業融資について

新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、外食産業や観光産業は虫の息となりました。コロナのために売上が激減し、これを機会に店舗をたたむ選択を余儀なくされた方々も多くおられます。しかし逆に考えると、これまで出店が難しかった魅力的な立地に出店できる機会ともなりました。

今後もコロナウイルスのワクチンが開発され世界中に配布されるまで、この混乱は続くものとみられます。このような状況の中で、創業融資を受けて新規事業を始めるのは無謀なのでしょうか?それともチャンスなのでしょうか?

今回は、コロナ禍中における創業と融資について、社会情勢の変化とともにご紹介します。

新型コロナウイルスによって急変した社会

新型コロナウイルス感染症が引き起こされた2020年年初から、社会情勢は急変を余儀なくされました。緊急事態宣言がなされ、政府指導のもとに外出自粛やテレワークの推進などが敢行されましたね。マスクは常備品となり、いっときは高額転売されるほど取り合いの状態に。

ここでは創業を検討している方に特に重要な、経済状況について触れてみましょう。

外食産業や観光産業の不調

日本フードサービス協会の市場動向調査によると、4月の外食全体の売り上げは前年同月比でマイナス40%まで落ち込みました。6月にはマイナス20%程度まで回復してきましたが、まだまだ前年度ほどの売上は立っていません。

外食産業は各都道府県からの要請を受けて、臨時休業や営業時間を短縮。さらに外出自粛が売上減に拍車をかけた形となりました。

大手外食企業である株式会社コロワイドは、196店舗を閉店することを決定し、随時閉店が進んでいます。大戸屋は12店舗。ロイヤルホールディングスは約70店を閉店すると発表しました。

観光産業もまた代打で気を受けています。4月の訪日外国人数は前年比99.9%減の2900人となりました。買い物袋をいくつも持って街を闊歩する外国人が激減した光景に驚いた方もおられるでしょう。

世界規模での観光産業は34兆円の損失と見込まれています。

外国人観光客の受け入れは難しい状況の中、政府はGoToトラベルキャンペーンを展開。旅行代金の最大50%を補填することで、日本人

による日本国内の旅行を促し、観光産業の立て直しを図っています。さらに各地方自治体は、独自のキャンペーンを行っています。

和歌山県では、和歌山県民を対象にした「わかやまリフレッシュプラン」を発売。旅行代金の最大半額を補助。しかもGoToトラベルキャンペーンとの併用も可能です。高知県では「高知観光リカバリーキャンペーン」と題して、交通費用助成を開始しました。高知県内に宿泊する場合、1旅行あたり1人最大5000円の交通費助成金を交付される制度です。他にも大阪府の「大阪の人・関西の人いらっしゃい!キャンペーン」など、観光産業を立て直すために様々なキャンペーンが各地で展開されています。

一見するとこれはチャンスでもありますが、国や地方自治体が動き、公的資金を投入しなければならないほど壊滅的なダメージを受けたことに他なりません。

中食・テイクアウト・デリバリーの伸長

外食産業や観光産業のダメージは計り知れませんが、時代を先読みして事業を行う企業も多く見られました。

飲食店はテイクアウトやデリバリーを開始。ウーバーイーツや出前館のような業者と提携して、これまで行なっていなかったデリバリーを開始する店舗も少なくありません。

ケンタッキーフライドチキン(KFC)は、コロナ禍でも安定した来客数を確保しています。その理由はもちろん「テイクアウト」。もともとKFCの来店者の7割はドライブスルーを含むテイクアウトだったのです。緊急事態宣言の発令後は、「巣ごもり消費」が浸透し、さらにテイクアウトに拍車がかかりました。現在では店内の客席を間引きして店舗内飲食も営業していますが、テイクアウト客が約9割を占めている状況です。自社での宅配サービスも行っていますが、ウーバーイーツのような宅配代行業者を利用することでさらにデリバリー事業を強化しています。

GoToEatキャンペーン

飲食店および農林漁業者を支持する目的で作られたキャンペーンです。

販売額の25%を国が負担してくれる制度で、感染症対策を行なっている飲食店が参加できる仕組みです。給付金総額は767億円を見込んでおり、大規模な支援策として期待されています。

地方自治体による飲食店応援キャンペーンも

大阪府では9月18日から、4人以下、15時以降利用、1組5000円以上の飲食を対象に、2000円分のポイントを付与すると発表しました。ミナミ地区(心斎橋や難波周辺)ではさらに2000ポイントを追加付与。つまり合計4000ポイントを付与します。店舗側には大阪府が発行する感染防止宣言ステッカーの登録・設置や大阪コロナ追跡システムに登録していることなどの制限が課されます。なおGoToEatキャンペーンとの併用も可能です。ポイント還元による外食費用の補助がどれほどの効果をもたらすのかはまだ不透明ですが、大阪府で成功すれば各地方自治体も追随すると予想されます。

ガイドラインの作成と実行

「一般社団法人日本フードサービス協会では、お客様に安心して外食を楽しんでいただくため」に、外食産業のための新型コロナウイルス感染症対策に必要な行動計画とチェック表を公表しています。もちろんこの項目を守ったからといってコロナ感染者が絶対に出ないとも限りませんが、チェック表を遵守することで、感染リスクを下げ、足が遠ざかったお客様を呼び戻すことに一役かうことでしょう。

日本政策金融公庫の状況

コロナ禍での日本政策金融公庫に状況を考えてみましょう。

社会情勢の激変により業績が悪化した企業も非常に多く、リストラや倒産も相次いでいます。東京商工リサーチによると、9月18日現在で2月以降のコロナ関連の経営破綻は全国合計504社に上ると発表しました。6月が最多の103社となり以降減少傾向にありましたが、9月に入り18日までの倒産社数は63社まで増加。コロナ関連破綻はここにきて再び増加する兆しを見せています。

このような不安定な情勢の中、日本政策金融公庫は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の取り扱いを開始しました。

コロナ融資が最優先

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、一時的に業況が悪化している個人や法人を対象とした特別貸付制度です。

コロナウイルスの影響で、最近1ヶ月の売上高が、前年または前々年比5%以上減少している場合に貸付対象となります。

大規模か急激な経済悪化という非常事態のため、2020年9月現在では郵送のみでも申し込み可能・面談も電話によるかなり簡単なものになっている支店が多いようです。ただし、徐々に、通常通り、面談が行われてきています。

前述したように、新型コロナウイルス感染拡大により、大規模かつ急激な経済悪化という前代未聞の事態が起こり、倒産数も増加の一途をたどっています。そのため日本政策金融公庫では、新型コロナウイルス感染症特別貸付を最優先としているようです。

不安定な情勢での強引な起業は融資されにくい

現在社会情勢は不安定の最中です。コロナウイルスのワクチンが開発され、全世界に普及されるまでこの状況は継続するものとみられます。

このような状況下で、見込み客の消費傾向を鑑みず強引に起業しようとする姿勢は、日本政策金融公庫からあまり良しとされません。

コロナ融資を最優先とし、コロナで一時的に売り上げが激減した企業を助けるのに注力している状況も、これから創業しようという方には向かい風となるでしょう。

ただし、絶対に創業融資がなされないということでもありません。コロナ対策をしっかりと講じてこの逆風の中でも利益を確保できる根拠と策を講じれば日本経済を担う一員として認められ、創業融資を掴み取れる可能性も大いにあります。また、コロナウイルス感染拡大に伴い「巣ごもり需要」と呼ばれる自宅での消費行動が増えました。ゲーム会社大手の任天堂の売上高は前年同期の5.3倍となり、この数字は消費者がゲームに費やす時間とお金が増えたことを示しています。このようにコロナウイルスに負けない事業計画があれば、問題なく創業融資は受けられるでしょう。

不動産の状況も激変

コロナウイルスが日本に上陸し、騒がれ始めたのが2020年4月ごろです。飲食店などの不動産契約は数ヶ月もしくは半年契約なので、4月ごろに見切りをつけた経営者たちは、9月か10月ごろまでに不動産契約を打ち切り撤退します。そのため今後どんどん不動産に空きが出てくるでしょう。そうなれば賃料も下がり、店舗が借りやすくなります。一方で、固定資産税が下がらなければ地代が下げられないので賃料はそのままということも考えられます。出店希望地に空きが出たからといって安易に飛びつかず、賃料や人通りをしっかりチェックした上で利益が出るかの判断を下してください。

今やるべきことは

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会情勢も消費行動も大きく様変わりしています。

創業計画も激変した状況に合わせて作り直す必要があるかもしれません。

現状でまずやるべきことは、事業計画が社会情勢にあっているかどうか・ワクチンができずとも継続的に運営できるビジネスモデルかどうかといった視点を持ち、事業計画を精査することではないでしょうか。しっかりとした事業計画であれば、現状でも創業融資を受けることは可能です。

社会のうねりに飲み込まれず、乗りこなせるような事業計画を作成されてください。

今やるべきことは

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