日本政策金融公庫の創業融資に通りやすくなる別紙資料の作成方法〜飲食店編~

日本政策金融公庫の創業融資に通りやすくなる別紙資料の作成方法〜飲食店編~

日本政策金融公庫の創業融資に申請する際には、創業計画書を作成するよう記載されています。そこで創業計画書を作成して持参するわけですが、創業計画書だけでは融資面談に通らない可能性が濃厚です。開業時期が迫っているのに創業融資が降りなければ、開業時期をずらすことも検討しなければなりません。

今回は飲食店を開業する方に的を絞り、創業融資に通りやすくなる別紙資料の作成方法をまとめました。


なぜ別紙資料が必要なのか?

日本政策金融公庫は融資面談で、あなたの描いたプラン通りに事業が進み、着実に貸したお金が返済されるかどうかを確認します。そこで、あなたの事業計画を可視化したものが「創業計画書」となるのですが、これはA4用紙2枚程度のもの。この中にあなたの事業計画を全て書き込むことは不可能ではないでしょうか。

創業計画書とは、いわばプレゼン資料のまとめであり、要約なのです。

ここで「創業の動機」を例にとってみましょう。

創業計画書に記載した内容

「子どもの頃から自分のお店を持つことが夢で、カフェで5年間勤務し技術やノウハウを身に付けることができました。今のカフェでも私の接客や考案した料理を気にいってくる常連客もできました。ちょうど○駅の近くに良い物件が見つかったため、開業する良い時期だと思いました。今まで培ってきた接客技術を活かした、ビジネスマン向けのカフェを経営したいです。」

融資面談の担当者からの質問

「自分のお店を持ちたい理由はなんですか?気に入ってくれる常連客は何人ほどで、その人たちは新規店舗まで来てくれそうなのですか?その根拠は?○地区で物件を探したのはなぜですか?物件の間取りや収容人数は?なぜその物件が良いのですか?競合店舗はそれくらいありますか?顧客をビジネスマンとした理由を教えてください。」

創業計画書の記載欄だけでは融資担当者からの質問に答え切ることができませんね。融資担当者からすると、創業計画書に記載されている情報だけでは融資実行とするのに不十分だからです。この「融資実行するには情報が不十分」の状態を「融資実行に十分」まで持っていくために、別紙資料が必要なのです。

別紙資料の作成方法

別紙資料は、創業計画書の項目ごとに作成し、まとめましょう。決して大雑把に「ここからここまでが別紙資料です」などとやってはいけません。事業説明を行うのはあなた自身ですので、分かりやすくまとめておく必要があるのです。

創業計画書はあなたの事業計画の要約です。従って創業計画書に記載した1つ1つの項目について深掘りし、その根拠や理由を説明できるようになるのが理想です。

  • 創業計画書の項目ごとに不明点を書き出す
  • 不明点を説明できる資料を準備する
  • さらに不明点を洗い出しブラッシュアップする

この繰り返しで、融資担当者をうなずかせる創業計画を作成しましょう。

経歴

同業他社での経歴を別紙でアピールするときは、就業年月とともに、どんな仕事を行い、どのようなスキルを身につけたのかまでしっかりと書き込みましょう。

例:「○年〜○年まで△店で勤務」

「ホールスタッフとして従事。レジ打ちや仕込み、開店業務・閉店業務まで携わりました。」

勤務年数が長いほどアピールになりますが、スキルや経験をさらに加えることで、より一層相手からの信頼感が増します。

保有資格

開店する店舗で役立つ資格を持っていれば、もれなく別紙に書き込みましょう。また、取得予定の資格や合格発表待ちの資格も記載しておくと良いでしょう。勉強熱心であるアピールができます。

保有資格は、取得理由や今後店舗でどのように活かせるかを簡潔に記載しておくと、計画性の点で評価されやすくなります。

「○年 チーズプロフェッショナル資格認定試験合格」

「ワインに合うチーズを多数取り揃えて提供するため、この資格を取得しました。」

「○年○月 ワインソムリエ試験合格予定」

「ワインを目玉にした飲食店にするため、ワインソムリエの資格試験の勉強をしています。」

資格は一目で開業準備が進んでいると理解するに足る材料です。出し惜しみせず、洗いざらい書き出してください。

想定顧客

想定する来客の属性を創業計画書に記載しても、その顧客に対する店舗のあり方を示すには欄が足りません。別紙で「顧客から選ばれる店づくりを行なっていること」について説明できるよう資料作成しておきます。

例:想定顧客

「30-50代男性ビジネスマン。主に営業職。接待に使用。」

「ビジネス街の外れに店舗を構え、行きやすくかつ閑静な空間と少し豪華なコース料理を提供します。内装は落ち着いた色調でシックにまとめ、畳と掘りごたつを設置し、全て個室します。誰にも邪魔されず、リラックスして会食や商談を進めていただけます。」

想定顧客が望む店づくりを目指していることをアピールしましょう。

立地調査

出店予定地の周辺には何があるかを別紙でまとめておきましょう。

先に記載した想定顧客が一定数以上存在し、客足が店舗に向くのかを考える指標となります。

融資担当者は面談終了後、実際にその場所まで足を運ぶこともあるようです。ウソを書いてもすぐにバレてしまいますので、実際に調査を行なった結果を誠実に記載してください。

記載する際には、必ず想定顧客にふさわしい立地になっているかすり合わせを行いましょう。

例えば、ビジネスマンをターゲットにしているのに、閑静な住宅街のど真ん中に店舗を構えるとしたら開店後に相当苦労するでしょう。これは極端な例ですが、「想定顧客が来やすい立地である」とアピールしてください。

例:「商圏 ○県有数のビジネス街 最寄駅○駅 乗降者数○人/日」

「店舗予定地近隣施設 ○社(想定労働者数200名)、△社(想定労働者数150名)、○ビル(利用者数300名/平日)」

「想定顧客は営業職の接待利用客のため、ビジネス街を選択しました。近隣に会食が可能な高級料理店はなく、集客が見込めると考えています。」

通行量調査

人通りが多ければそれだけお客さまが来る可能性が高くなりますね。逆にほとんど人が通らない場所であれば、どれだけ素晴らしい店でも、開店当初からお客さまを呼び込むことは難しいでしょう。

そこで出店予定地周辺の通行量調査の結果を別紙資料として提出すれば、売り上げ見込みが立つことをよりアピールする材料にできます。

例:「○年○月○日 △時〜△時に実施 20歳以上(目測)男性○人 20歳以上女性○人」

通行量調査の仕方

通行量調査の方法は3つあり、上から順に推奨しています。

1.商工会議所のサイトで確認する

商店街などの主要道路であれば、対象エリアの商工会議所が通行量を測定しているケースがあります。商工会議所のサイトをチェックし、通行量データが公表されていないか確認してください。見当たらない場合も一度電話などで相談すると良いでしょう。資料を持っている可能性も考えられます。

2.自分で計測する

自ら足を運び、通行量を調査します。自分の目で見るので、これ以上正確な情報はありません。

通行量は以下の4つの区分を明確にしてから実施しましょう。

曜日平日・休日
時間帯朝・昼・夕方・夜・深夜
測定する歩行者の属性性別・年齢など
計測時間何分間計測するか

3.業者に依頼する

通行量調査を代行してくれる業者に依頼します。料金はかかりますが、自ら通行量調査を行う時間が取れない時に重宝します。

市場調査

出店予定地の近隣にあるライバル店を調査して別紙資料としましょう。融資担当者からの評価が上がるだけでなく、今後の売上予測も立てやすくなります。

また、ライバル店だけでなく、想定顧客が好みそうな店舗をピックアップして、来店者数や購入価格などの概算を算出しても高評価です。

メニュー表

メニュー表を作成します。創業計画書に記載できる欄は非常に小さく書ききれないでしょう。メニュー表を使って目玉となるメニューや、利益率の高いメニューなどを説明しましょう。

セールスプロモーション

開店前〜開店後にかけて、どのようなセールスプロモーションを行うか別紙にまとめます。セールスプロモーションとは、顧客の関心を引き、実際に来店して飲食してもらうための取り組みを言います。

例えばチラシを撒くことや、990円飲み放題キャンペーンなどが該当します。

創業当初は新規顧客獲得が主要命題です。顧客獲得のためにできること、実際にやることをまとめましょう。

例:「開店1週間前からSNSで宣伝。拡散してくれた方にデザートを1品プレゼント」

「クリスマスケーキの街頭販売。女性バイトにクリスマスの衣装を着て販売してもらう」

「近隣の会社の総務部宛にDMを発送する。クーポン券つき」

今後期待できる支援

創業後に親族や友人から金銭的援助を受けたり、宣伝やバイトとなってくれるといった支援が期待できるようなら、それを別紙にまとめておきましょう。

支援はあればあるほど良いわけです。5W1Hでまとまりよく記載してください。

損益計画表

開業初年度の売り上げや支出などについて計算し、損益の計画表を作成して添付しましょう。実際の数字は開店してみなければ分かりませんが、創業前から計画していると融資担当者の印象も非常に良いものとなります。損益計画表は赤字になっても構いませんが、2年目以降その赤字をどうやって回収するかの具体策まで記載しておきましょう。

損益計算表は下記の項目について簡単にエクセルでまとめ、その根拠を言葉にできるように用意してください。

・売上高

・原価

・給与

・家賃

・仕入れ

・リース料

・その他

損益計画表

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