飲食店が創業融資に通りやすくなる創業計画書の作成方法

飲食店が創業融資に通りやすくなる創業計画書の作成方法

どれだけ小さなお店であっても、飲食店を開業するには数百万円を超えるまとまった開業資金が必要です。全額自己資金でまかなえるならベストですが、現実的にはなかなか難しいですよね。

創業融資を調達するにあたり最も利用しやすく、借りやすいのが日本政策金融公庫の創業融資です。しかし、ただ書類に記入しただけでは融資は実行されません。日本政策金融公庫の融資のポイントをしっかり押さえた創業計画書を作成する必要があります。

今回は日本政策金融公庫の創業融資に通りやすくなる創業計画書の作成方法についてまとめました。

なお創業計画書は、日本政策金融公庫サイトからダウンロード可能です。日本政策金融公庫の雛形に沿ってご説明します。

「創業の動機」の書き方とポイント

飲食店開業が一時の思いつきではなく、しっかりと準備をしてきた結果であることをアピールしましょう。あなたの経営者としての素質を見られています。

創業のタイミング

なぜ「今」創業するのか?どうして来年ではなく、昨年でもなく「今」なのか、について考えてみましょう。思いつきや「良い物件が見つかったから」「友達に勧められて」など主体性のない理由だと、計画性のない方だと思われてしまいます。社会情勢や自分の思いを踏まえて「今しかない」理由を記入してください。

納得できるストーリー性

「小学生の時に食べたケーキを自分で作りたいと思った」「前職の経験から。自分で店を持ちたいと思うようになった」

このように長期間にわたり着実に準備してきたことを、熱意を込めて記載してください。最も伝わりやすいのは時系列にすることです。

「10年前から創業する夢を持ち、5年前から資金準備、2年前に同業のカフェで就職…」相手にも計画性のある人物だと納得してもらえるストーリーを準備しましょう。

親族の理解は得られているか

飲食店創業は相当大変な一大事業です。家族や親族のサポートがなければ辛い戦いになるでしょう。

親族の理解がないまま創業するとなると公庫からしても、「親族から反対されるような人物なのか」と思われてしまいかねません。親族からの理解を得られているかどうかは大きなポイントとなります。

「経営者の略歴等」の書き方とポイント

整合性と納得性の高い経歴

「創業の動機」で記した内容と矛盾しない、整合性の高い経歴であることが大前提です。記入後に読み返してみましょう。

基本的には働きだしてからの経歴で良いですが、開店する飲食店に関連する学校に通っていたならその内容も記載しましょう。

例えば調理師専門学校の卒業資格やカフェでアルバイトをした経験、飲食店での就業経験があれば大きなアピールになります。

資格はもれなく記入

「関係ないかもしれない」と思うことでも、全て記入しておきましょう。知的財産権(特許など)も保有していれば記入を。

「取扱商品・サービス」の書き方とポイント

メニューを記載

開店後の飲食店で提供するメニューを記載します。

「ランチ・ディナー・テイクアウト」「ドリンク・フード・そのほか」「お弁当・飲み物」など簡単にカテゴリーに分けて、主なメニューとその料金を記載しましょう。

店のコンセプトに合ったセールスポイント

競合店の多い飲食店では、セールスポイント、つまり自分の店の強みが非常に重要です。「なぜ、あなたの商品が購入されるのですか?」の問いにきちんと答えられるようにしておきましょう。

「人が多いから」「他にお店がないから」と言ったあやふやな答えよりも「会社員が多いビジネス街で、ちょっとお酒を飲める店が少ない」「他の地域では同様の飲食店が繁盛しているのに、この地域ではない」など具体的な答えが好まれます。

販売ターゲット・販売戦略

一言で言うと、どんなお客さんに来て欲しいかを記入する欄です。

サラリーマン、子連れの主婦、学生などでも良いですし、もっと細かく「40代前後の男性サラリーマン」「20代で年収300万円程度の一人暮らしの女性」などに設定しても構いません。開店する飲食店のコンセプトや立地に沿ったターゲット層と販売戦略を巡らせましょう。

「取引先・取引関係等」の書き方とポイント

お金の流れをシンプルに

お金の出入りがシンプルに理解できるように記載してください。

飲食店であれば「販売先」はほぼ「一般客」あるいは「企業」の場合もあるでしょう。

「仕入先」も現段階で決まっている企業のみで問題ありません。わかる範囲で記載しましょう。

人件費は従業員の分を

従業員を雇うことが決まっている場合は、この欄に人件費の概算を記載します。正社員だけでなく、アルバイトやパートも含まれます。親族に手伝ってもらう場合でも人件費の支払いは必要です。

「従業員」の書き方とポイント

従業員を雇用する予定があるのなら、その人数を記載します。

自分は経営者であり従業員ではありませんので、もし自分一人で店舗を回すならこの欄は「0人」になります。

「お借り入れの状況」の書き方とポイント

事業に関係のない借入を記入

創業する店舗とは関係のない「あなた自身の」借入状況を記入します。

住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどが該当します。もし黙っていても、公庫は確実に調べて来ます。借入金が多くても期日通りに返済していれば問題ありませんので、怖がらずに真実を記載しましょう。ウソをつくと心証が悪くなります。

「必要な資金と調達方法」の書き方とポイント

なぜ・いくら借入が必要なのかを端的に説明する箇所です。

公庫側が最も重要視するポイントと考えて間違いありません。

はじめに「必要な資金」の欄を計算&記入し、その上で「調達の方法」を記入すると楽に作成できます。

開業資金の計算方法

  • 創業計画書を離れて、ノートかパソコンの表計算ソフトを開く
  • お金がかかるものを思いついた順にどんどん書き出す
  • 広告費や開店までの人件費など、形のないものも書き出す
  • 金額の大きい順に並び替える
  • 漏れがないか確認
  • 全て足した金額が開業に必要な資金となる

設備資金

計算した開業資金のうち、形あるモノが「設備」と考えて良いでしょう。

例えば

  • 看板代
  • 店舗内装代
  • テーブルやイス、パソコン
  • 厨房機器
  • 物件の敷金など

大きな金額ほどシビアに見られますので、業者の見積書をもらっておき添付資料として提出するとベターです。根拠が一目瞭然ですので融資の判断材料に使えます。

運転資金

事業が軌道に乗るまでに必要な資金が「運転資金」です。

  • 仕入資金
  • フライヤーやHPの広告宣伝費
  • 開店までの人件費

運転資金も概算で構いませんので見積額を計算してください。

その際は、細かく聞かれることを前提に作り込んだ方が安心です。

調達方法

欄の右半分に記載する調達の方法も、根拠を明示する必要があります。

例えば自己資金が300万円であれば、預金通帳などを見て本当に300万円あるかどうかをチェックされます。その際は見せ金でないか、どうやって入手したお金なのかを必ず聞かれます。相手は金融のプロですので、一時的に借入したお金は、すぐにそれとバレてしまいます。「給料からコツコツ貯めた」「退職金を充てた」「親に出してもらった」など、お金の流れをきちんと説明できることがポイントです。

「日本政策金融公庫からの借入」の欄には、自己資金や他からの借入で不足する金額を書き込みましょう。

一般論としては、自己資本比率が高い方が創業融資の審査は通りやすくなると考えられます。しかし当面の生活費すら自己資金として申請しても公庫の担当者にはすぐにバレてしまいますので、バランスを考えて自己資金額を申請しましょう。

最後に、記入した表の左右の合計額が一致していることを確認してください。当然ながら不一致だと書き直しになります。

「事業の見通し」の書き方とポイント

まだ事業を始めていない段階では、売上などがどれくらいになるか見当もつかないかもしれません。その場合はこれまでの経験則や、周囲の飲食店の販売状況などを偵察して計算してみましょう。

創業当初の利益が思ったように見込めず、赤字になった場合の補填方法も記載があると融資をより有利に勧められます。

金額の根拠をできる限り明らかにして記載しましょう。

売上高の計算方法

飲食店の売上高は「客単価×席数×回転数×稼働日数」で計算できます。

ランチとディナーでも客単価は大きく変わるでしょうから、時間帯ごとに売上高を計算すると、より正確な見積額が出せます。

売上原価の計算方法

原則としてレシピを作成し、実際の原価を算出します。ただし全てのメニューのレシピについて原価計算を行うのは容易なことではありません。過去に飲食店で働いていた経験があるなら、その時の原価率を当てはめることも検討しましょう。

人件費

従業員が何人必要で何時間働いてもらう予定なのか計算しておきましょう。

例えば、仕込みを含めて1日8時間労働の厨房正社員が1名、ホール担当のアルバイトは1日2人体制で3時間雇用人数を4名、であれば必要な従業員数は5名で、従業員に働いてもらう総労働時間は…と言った具合です。

人件費は合計で月いくらまで、ではなく、正社員が何人でいくら、アルバイトが何人でいくら、という点まで計算しておきましょう。

家賃なども忘れずに

その他の費用には、比較的大きな金額のものを中心に記入します。

一般的には「店舗家賃」「光熱費」「広告宣伝費」などです。日本政策金融公庫からの融資が通った後に発生する「支払利息」も含んでおくと、創業後の経理計算が容易になります。

「自由記述欄」の書き方とポイント

「悩みや欲しいアドバイス」を記入してはいけない

他に記載したいことがあれば記入してください。空欄でも特に問題はありません。ただし、「事業を行う上での悩み、欲しいアドバイス」を記入するのは避けましょう。確かに記入していれば公庫の担当者はアドバイスをくれるかもしれません。しかし逆に捉えると、「自分の事業に詳しくない」「自信がないのか」と勘ぐられることにもつながります。余計なことは書かずに、最後まで自分をアピールしてください。

「悩みや欲しいアドバイス」を記入してはいけない

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